東京で暮らす男子高校生・立花瀧と、岐阜県飛騨地方の山あいの町に暮らす女子高校生・宮水三葉。互いに会ったこともない 2 人が、ある日突然入れ替わる――。新海誠監督が描く、ふたつの土地とふたつの時間が交差する物語。
「君の名は。」の聖地は、瀧の日常を描く東京都新宿区・渋谷区一帯と、三葉の故郷のモデルとなった岐阜県飛騨市・高山市、さらに諏訪湖(長野県)を合わせて21か所に及ぶ。四ツ谷・信濃町・代々木・千駄ヶ谷と山手線・中央線沿線に散らばる東京側は瀧の生活圏を、白壁土蔵街が続く飛騨古川は三葉の生活圏を描き、両者は入れ替わりという設定そのままに離れた土地として存在する。「モデル地」とされる場所の多くは公式に明言されたものではなくファン考察に基づくため、複数の説がある前提で巡るのがこの作品らしい歩き方だ。
須賀神社のラストシーンの石段、瀧の通学路として描かれる四ツ谷駅・信濃町歩道橋、主題歌のモンタージュに使われた新宿警察署裏交差点・新都心歩道橋、奥寺先輩とのデートの舞台・国立新美術館、アルバイト先のモデルとされるカフェ ラ・ボエム新宿御苑まで、新宿区・渋谷区西部に集まる。いずれも生活道路や現役の店舗に近いため、通行人の妨げにならない配慮が特に必要なエリア。
大人になった三葉の最寄駅とされる北参道駅、ラストで三葉が電車を降りる千駄ヶ谷駅、日常の背景として使われた代々木駅、明治天皇ゆかりの聖徳記念絵画館、そして四谷見附橋(跨線橋)まで、山手線の内側に集まる。須賀神社での再会に至るまでの道のりを、山手線・中央線を使って逆順にたどると映画のラストを追体験できる。
飛騨古川駅を起点に、宮水神社のモデルとされる気多若宮神社、鯉が泳ぐ瀬戸川と白壁土蔵街、三葉が組紐作りを教わる場面にゆかりのある飛騨古川さくら物産館、記憶を頼りに地名を探す場面のモデル・飛騨市図書館までが徒歩圏内にまとまる。市街から離れた宮川町落合バス停は公共交通がほぼ無く、熊の目撃情報もある山間部のため訪問は日中に限りたい。
高山市の飛騨山王宮日枝神社は宮水神社の参道の合成元の一つとして語られ、諏訪湖畔の立石公園は「糸守湖」の着想源の一つとして新海誠監督がSNSで言及したことがある地域。ただし監督本人は糸守が特定の場所をモデルにしたものではないと明言しており、いずれも参考にされた可能性がある場所として楽しみたい。
東京側の起点はJR・東京メトロ「四ツ谷駅」。飛騨古川へは東京駅から特急ひだで約4時間半かかるため、東京エリアと岐阜エリアを1日で回ることは前提にできず、飛騨・高山エリアは1泊以上の旅程で計画したい。
東京エリアは通年で回れるが、聖徳記念絵画館前の紅葉は11月が見頃。飛騨古川の瀬戸川沿いは桜と鯉が同時に楽しめる4月上旬がおすすめで、冬季は積雪により駅前の構図が変わる点も踏まえておきたい。