モンタージュシーンの背景
明治神宮外苑にある美術館。明治天皇の生涯を描いた壁画を収蔵し、序盤のモンタージュシーンの背景の一つとして登場する。
『君の名は。』の序盤、瀧の日常を切り取ったモンタージュシーンの背景に、この絵画館とその前に広がる銀杏並木がさりげなく映り込む。開放感のある都心の緑地の空気を伝える一場面で、瀧が何気なく通り過ぎるだけの風景だからこそ、実在の場所であることに気づきにくい。
聖徳記念絵画館は1926年10月22日に竣工した美術館で、明治天皇と昭憲皇太后の生涯を描いた日本画40点・洋画40点、合わせて80点の壁画を収蔵する。設計は公募設計競技の1等案を原案に、高橋貞太郎と小林政一が実施設計を担った建物で、左右対称の重厚な花崗岩造りの外観は2011年に国の重要文化財となった。中央のドームを軸に左右対称に伸びる建物のかたちは、絵画館そのものが一枚の絵のように見える。館内には壁画のほかに明治天皇にゆかりの資料も展示され、絵画館というより一種の記念館としての性格を持つ。
手前に続く銀杏並木は1923年に植えられたもので、雄木44本・雌木102本の合計146本が絵画館を中心に見えるよう遠近法を意識して配置されている。造園を手がけた折下吉延は新宿御苑の種から育てた苗を用いたといい、外苑の並木と絵画館は言わば「兄弟姉妹」の関係にあるのだという。秋になると並木全体が黄金色に染まり、正面から絵画館を望む写真愛好家の姿が並木道のあちこちに見られるようになる。冬枯れの並木道も、葉を落とした枝ぶりが絵画館の輪郭を際立たせ、季節ごとに違う魅力を見せる。
館内は有料の展示施設で、内部の撮影は各展示室のルールに従う必要がある。並木道は自由に歩けるが、紅葉シーズンの土日は観光客と写真愛好家でひどく混み合うため、平日や早朝に訪ねるほうが落ち着いて眺められる。国立競技場や神宮球場にも近く、外苑エリアを歩くついでに立ち寄る人も多い。
アクセス: 都営大江戸線「国立競技場駅」から徒歩5分 / JR中央・総武線「信濃町駅」から徒歩10分