人吉市出身の緑川ゆきによる同名漫画のアニメ化。妖(あやかし)が見える少年・夏目貴志が、亡き祖母レイコが妖から奪った名前を記した「友人帳」を受け継ぎ、ニャンコ先生とともに一つずつ名前を返してゆく連作の物語。舞台モデルは熊本県人吉市・球磨郡で、球磨川沿いの橋や神社、山あいの棚田や史跡が、妖と人が隣り合って暮らす「あやかしの原風景」として繰り返し描かれる。
「夏目友人帳」の聖地は、原作者・緑川ゆきの出身地である熊本県人吉市と、隣接する球磨郡の山江村・相良村・錦町・あさぎり町に21か所が広がる。球磨川に架かる天狗橋や紅取橋、盆地を見渡す神社や山あいの棚田が、夏目貴志と妖たちが暮らす「あやかしの原風景」のモデルとして繰り返し描かれてきた。2020年の球磨川豪雨で天狗橋・大柿毘沙門堂をはじめ多くの聖地が被災したが、ファンの支援も後押しとなって順次復旧が進んでおり、聖地巡礼はこの土地の復興を見届ける旅でもある。人吉市街地の一部は徒歩で回れるが、球磨郡のスポットの多くは車での移動が前提になる。
球磨川に架かる天狗橋は第1期の通学路のモデルとしてファン人気No.1の聖地だが、2020年の豪雨で被災し、2025年11月に復旧再開通した復興のシンボル。紅取橋・鍛冶屋町通り・人吉城跡・宮地嶽神社はいずれも人吉駅から徒歩圏内に集まり、市街地だけで半日以上の巡礼が組める密度がある。
田町菅原天満宮の赤い鳥居、三日原観音堂、豪雨で浸水し全国からの支援で復旧した大柿毘沙門堂は市街地から車で10分前後の距離にある。スイッチバックとループ線を持つ秘境駅・大畑駅は複数の期に登場する人気スポットだが、JR肥薩線は2020年豪雨以来運休中で、復旧目標は2033年度。現在は**列車では到達できず、車での訪問が前提**になる。
相良村の雨宮神社、山江村の淡島神社・淡島阿弥陀堂・ボンネットバス「マロン号」、錦町の一武八幡宮はいずれも球磨郡の山間に点在し、公共交通の便が薄いため車での移動が前提になる。松谷棚田展望所の棚田は個人が耕作する私有農地のため、見学は展望所と道路からにとどめ、畦道への立ち入りは避けること。
「幸福」を冠するおかどめ幸福駅の向かいに立つ地蔵菩薩、球磨川に架かる里の城大橋、劇場版「うつせみに結ぶ」の舞台になった立岩の史跡・魚背岩は、いずれもあさぎり町深田周辺にまとまっており、車で続けて巡ることができる。
起点はJR人吉駅(くま川鉄道は稼働、JR肥薩線は2020年豪雨以来運休中で復旧目標2033年度)。人吉市街のスポットは駅から徒歩や短時間の移動で回れるが、球磨郡・あさぎり町のスポットは公共交通の便が非常に薄く、車でのアクセスが基本になる。棚田・農地は私有地のため立ち入らないこと。
球磨川沿いの新緑・紅葉の季節が最も景観が映える。松谷棚田展望所は田植え〜収穫期の水田・稲穂の景観が見どころだが、農作業中は静かに見学すること。