スイッチバック+ループ線の秘境駅(肥薩線運休中で列車では行けない)
人吉市大畑町、JR肥薩線のスイッチバックとループ線を併せ持つ秘境駅。第1期・第3期・第6期に登場するが、肥薩線は運休中で列車では行けない。
日本でここだけ、ループ線の中にスイッチバックが組み込まれた駅がある。大畑(おこば)駅は、勾配の途中にわずかな平坦地を見つけて停車場を建てたためにこの構造が必要になったとされ、島式ホーム1面2線から構内踏切を渡って木造駅舎へ向かう配置は開業時とほとんど変わっていない。木の柱や梁がそのまま残る駅舎は、時が止まったような雰囲気を漂わせる。もとは蒸気機関車のための信号所・給水所としての役割が大きく、人吉駅からの急勾配区間でD51形機関車が大量の燃料と水を消費したことが、この駅の存在理由だった。
『夏目友人帳』では第1期第7話、参(第3期)、陸(第6期)と複数のシーズンにわたって登場し、山あいの静かな駅の風情がそのまま作中の舞台として描かれている。派手な事件が起きるわけではないが、静けさそのものが作品の空気に合っている。
ただし2020年7月の球磨川豪雨でJR肥薩線は大きな被害を受け、人吉駅を含む区間は2024年時点でも不通が続く。JR九州が示す復旧目標は2033年度で、当面は列車でこの駅に到達することはできない。列車はまだ来ない。復旧までの長い時間そのものが、この土地の被害の大きさを物語っている。訪問には車が前提になり、人吉市街からは20分ほど。道は狭い山道を含むため運転には注意したい。現役の鉄道用地であることに変わりはなく、線路内やホーム際への立ち入りは絶対に避けること。列車の来ない駅で、それでも風景だけは変わらず残っている。
アクセス: JR肥薩線は2020年豪雨以来運休中(復旧目標2033年度)で列車では到達不可。人吉市街から車で約20分。