日本百名城、「はね出し」石垣を持つ相良氏の居城跡
人吉市麓町、日本百名城に選ばれた人吉城の跡。陸(第6期)に登場。
人吉城が相良氏の居城として整えられたのは、鎌倉時代にこの地に入った相良氏が、以後約700年にわたって統治を続けた歴史の中でのことだ。麓町の高台に立つ城域からは、人吉盆地と球磨川の流れを同時に見渡すことができ、この土地がなぜ長く治められてきたのかが、地形を歩くだけで伝わってくる。本丸へ続く石段を上ると息が上がるほどの高さがあり、そこから見下ろす盆地の眺めが、この城が要衝であったことを実感させる。城の姿が大きく変わったのは幕末の改修で、御館周辺の石垣に「はね出し石垣」と呼ばれる工法が採用された。石垣の最上部をわずかに外側へ張り出させ、上ってくる敵を跳ね返しながら、逆に城側からは石垣に張り付いた相手を攻撃できる仕組みで、西洋の築城術を応用したものだという。同種の石垣は函館の五稜郭や佐久の龍岡城にしか例がなく、いずれも人吉城ほどの規模ではない。この独自性が評価され、2006年に日本100名城の一つ(93番)に選ばれた。『夏目友人帳』では陸(第6期)で、夏目貴志が歩く町の風景として、石垣越しの城域や麓町の街並みが描かれている。現在は史跡公園として無料開放されているが、石垣はれっきとした文化財である。登ったり触れたりせず、指定の遊歩道からゆっくり見学すること。人吉駅からは徒歩10分ほどで、天狗橋や鍛冶屋町通りと合わせて歩けば、人吉盆地と球磨川を見渡すこの高台が、巡礼ルートの締めくくりにふさわしい場所だとわかる。
アクセス: 人吉駅から徒歩約10分。人吉市街エリアの他スポットと合わせて巡れる。