筆頭鉄師の白壁土蔵
松江藩の筆頭鉄師・田部家の門前に連なる白壁の土蔵群。VIVANT続編第4話で東条翔太がいた土蔵として登場する。
島根県雲南市吉田町、たたら製鉄で財を成した鉄山経営者・田部家の門前に、白壁の土蔵が街道沿いにずらりと並ぶ。田部家がこの地でたたら製鉄を始めたのは室町時代の1460年頃とされ、江戸時代には松江藩の筆頭鉄師という地位を得た家系だ。明治末期には全国に供給される鉄の多くをこの家が生産していたと伝えられ、土蔵群はその富の蓄積をそのまま建築に映した姿である。蔵は1707年から1906年という長い時間をかけて建てられ、数は21棟に及ぶ。文書蔵・道具蔵などが用途ごとに整然と配置され、なまこ壁と白漆喰の外観が街道の景観を引き締めている。企業城下町として発展した吉田の歴史を、この一角はいまも静かに語っている。徒歩圏には鉄の歴史博物館や菅谷たたら山内があり、日本遺産「出雲國たたら風土記」を構成する一帯として合わせて歩けるだろう。鉄の歴史博物館ではたたら製鉄の技術や道具について詳しく学べるので、土蔵群を訪ねる前に立ち寄っておくと理解が深まる。かつて鉄穴流しで栄えた奥出雲一帯とあわせて訪ねれば、鉄山経営がこの地域の風景そのものを作り上げてきたことが見えてくる。VIVANT続編第4話では、東条翔太がいた土蔵としてこの一角が撮影に使われた。物語の緊迫した場面と、静かに時を重ねてきた白壁の対比が印象に残る使われ方だ。撮影に使われたのが具体的にどの棟かを示す案内板はないため、街道全体の雰囲気を味わうつもりで歩くのがよいだろう。蔵はいまも現役の私有建築で、内部は非公開。見学は外観のみにとどめたい。生活道路沿いという立地でもあるので、住民の通行を妨げないよう気をつけて歩くのが基本だ。写真を撮る際も、車の通行を確認してから路肩に立ち止まるようにしたい。
アクセス: 松江自動車道「吉田掛合IC」から車で約10分(公共交通は不便)