最初の「後ろ戸」のモデル
かつて久大本線の要衝として使われた扇形機関庫の廃墟。登録有形文化財として保存整備され、映画冒頭で鈴芽が最初の「後ろ戸」を見つける廃墟の風景のモデルとされる、シリーズを象徴するキービジュアルの場所。
1934年、久大本線が全線開通した年にこの扇形機関庫は建てられた。蒸気機関車は前後の区別があるため方向転換が必要で、そのために転車台とともに整備された施設である。最盛期には21両の蒸気機関車がここに所属していたといい、当時の久大本線がいかに重要な路線だったかがうかがえる。扇形に並んだ機関庫の配置は、蒸気機関車が一台ずつ順番に転車台へ出入りしていた当時の作業の流れをそのまま留めている。
国鉄のディーゼル化が進んだことで1971年4月に廃止され、以後は長く放置された時期もあった。屋根が落ち、レンガの壁だけが残る姿になっていた時期もあるが、地元の保存運動を経て2012年8月13日に「旧豊後森機関庫」と「旧豊後森機関庫転車台」がそれぞれ国の登録有形文化財となった。玖珠町が公園として整備し、現在は無料で見学できる。
映画では、鈴芽が学校帰りに迷い込む廃墟の温泉街に現れる最初の「後ろ戸」のイメージソースの一つとされる。半円状に並んだレンガの壁と転車台が残る光景は、たしかにどこか異界への入口を思わせる雰囲気を持ち、同じアングルで写真を撮るファンの姿もよく見られる。訪れる人の多くは、映画の場面を思い出しながらレンガの壁の隙間から光が差し込む様子を写真に収めていく。
JR久大本線豊後森駅から徒歩約10分。老朽化した構造物のため、立入禁止のロープや看板がある区画には絶対に入らないこと。雨天後は足元が滑りやすくなる点にも注意したい。夕方に訪れると、廃墟のシルエットがより印象深く浮かび上がる。
アクセス: JR久大本線「豊後森駅」から徒歩約10分