下北沢演劇の象徴
1982年開業、下北沢演劇の象徴的な劇場。第1話をはじめ複数話で背景に繰り返し登場する、結束バンドの街のランドマーク。
かつて銭湯があった土地に、本多一夫が1982年11月3日、本多劇場を開いた。三角屋根に赤い壁面という外観は今も下北沢のシンボルのひとつで、以後この一帯には「ザ・スズナリ」「OFF・OFF THEATRE」といった姉妹劇場が次々に集まり、下北沢は「演劇の街」と呼ばれる土地になった。夢の遊眠社、第三舞台、大人計画といった劇団が公演の拠点にしてきた歴史も、この劇場が起点になっている。銭湯の跡地に劇場を建てるという発想自体が、下北沢という街の懐の広さを物語っているようにも思える。銭湯という日常の場所から演劇という非日常の発信地へと生まれ変わった建物の系譜は、下北沢という街そのものの変化を体現している。 『ぼっち・ざ・ろっく!』では第1話をはじめ第3・5・8・11話ほか複数話にわたって、結束バンドのメンバーが行き来する下北沢の街並みの背景に本多劇場が繰り返し映り込む。物語そのものの舞台にはならないが、街の空気感を支える背骨のような存在だ。人前で演奏することに怯える主人公・後藤ひとりが、日々この劇場の前を通りながら成長していくという構図は、演劇の街という下北沢の性質と静かに響き合っている。劇場の前を通り過ぎるだけの一瞬のカットにも、この街で生きるバンドマンたちの日常が滲んでいる。 小田急線・京王井の頭線「下北沢駅」南口から徒歩4分、駅前の飲食店街を抜けた先に建つ。現役の公演施設であり、開演前後は観劇客の出入りが集中するため、外観撮影は通行の妨げにならない歩道側から短時間で済ませたい。開演前の列に並ぶ観劇客の姿もまた、下北沢らしい光景のひとつだ。同じ建物にはヴィレッジヴァンガード下北沢店も入っており、あわせて訪れる巡礼者が多い。
アクセス: 小田急線・京王井の頭線「下北沢駅」南口より徒歩4分