第10話 「私の屍を越えてゆけキャンプ」の目的地
標高1445mの山頂に広がる「天空のキャンプ場」。中央・南アルプスと伊那谷を360度見渡せる絶景が特徴で、令和3年から予約制・有料の「陣馬形山アルプスビューラウンジ」として再整備された。
1936年に発行された旅行ガイドブック『観光信濃』には、この山について「老幼婦女子も登山容易、家庭的キャンプ場として最も好適である」と紹介されている。90年近く前からキャンプ地として親しまれてきた場所ということになる。
標高1445.35メートルの山頂付近には広さ0.8ヘクタールのキャンプ場が広がり、赤石山脈(南アルプス)、木曽山脈(中央アルプス)、さらに条件が良ければ飛騨山脈(北アルプス)までを見渡せる。伊那谷を挟んで複数の山脈を一望できる立地は、他の山域ではなかなか得難い。雲海が広がる早朝や、街の灯りが見える夜も、それぞれ違った表情を見せる。山頂に立つと、風の音以外に何も聞こえない時間帯があり、都会の喧騒から完全に切り離された感覚を味わえる。
第10話では、リンがこの山頂を「私の屍を越えてゆけキャンプ」の目的地に選び、強風でテントが飛ばされそうになりながらも焼き豚まんを調理する。開放感のある山頂だからこそ、風の強さもひとしお身にしみる場面だ。焚き火の火を見つめながら山脈のシルエットが暗闇に沈んでいくのを眺める体験は、他のキャンプ場ではなかなか得られない。かつては無料の穴場として知られていたが、利用者の増加とマナー低下を受け、令和3年から予約制・有料の「陣馬形山アルプスビューラウンジ」として再整備された。
中川村中心部から山頂まで続く林道は約10km、舗装済みだが幅の狭い区間が多く、積雪のため12月から4月初旬にかけては通行止めとなる。中央自動車道松川ICからは約21km・50分。マイカーがなければ実質訪問が難しい立地でもあり、強風時のテント設営には特に注意し、予約と利用マナーを守って訪れたい。
アクセス: 中央自動車道「松川IC」から林道経由で約21km・車で約50分(積雪期通行止め・公共交通は不便)