利根町の行政庁舎
茨城県北相馬郡利根町の行政庁舎。利根川沿いの町のシンボルで、VIVANT続編第1話のロケ地として登場する。
VIVANT続編、通算第10話にあたる第1話。地方行政の現場を描く場面のロケ地として、この庁舎の外観が撮影に使われた。舞台になったのは、利根川と小貝川が合流する低地に広がる水辺の町、茨城県北相馬郡利根町の役場だ。 役場が建つ布川地区は町の中心部にも近く、田園と住宅地が入り混じる静かな一角にある。『遠野物語』などで知られる民俗学者・柳田国男は少年期の約2年間をこの地で過ごし、自ら「第二の故郷」と呼んだという。柳田が身を寄せた小川家の母屋を復元した柳田國男記念公苑、江戸期の地誌『利根川図志』の著者・赤松宗旦の旧宅、郷土芸能「つく舞」発祥の地として伝わる布川神社、さらに戦国期の遺構である布川城跡が周辺に集まり、かつて利根川舟運で栄えた商家町の面影も路地の随所に垣間見える。地方行政の現場という現代的な場面のロケ地でありながら、周辺には民俗学や江戸期の地誌にまでつながる歴史の層が積み重なっているのが、この土地の面白さだ。 役場は現役の行政施設で、住民が日々窓口を利用しているため、見学は建物の外観にとどめ、来庁者や職員の通行を妨げない時間帯・位置を選びたい。最寄りは常磐線快速の起点でもあるJR「取手駅」で、バスで20分ほどかかるうえ本数も限られるため、車での訪問も選択肢に入れておくと安心だ。柳田が愛した町の面影をたどりながら歩くと、庁舎そのものの見え方も少し変わってくる。水辺の低地という土地の条件が、利根川舟運の時代から今の行政の中心地までを一貫して規定してきたことも、歩いてみるとよく分かる。 柳田国男が『遠野物語』の構想を練った時期にはすでに東京帝国大学に進んでいたが、少年期をこの布川で過ごした経験が、後年の民俗学者としての目線に影響を与えたと語られることがある。行政という現代的なテーマを描くロケ地でありながら、周辺一帯が近代日本を代表する学者ゆかりの地でもあるという二重性は、利根町という土地を訪れる意味を一段と豊かにしてくれる。役場の外観を眺めたあとは、柳田國男記念公苑まで歩いて足を延ばし、あわせて土地の記憶をたどるのもおすすめだ。
アクセス: JR常磐線「取手駅」からバスで約20分