紬と想が8年ぶりに再会した駅
小田急小田原線の地下駅。第1話で青羽紬が偶然、佐倉想を見かけて追いかける再会シーンの舞台となり、劇中で最も繰り返し登場する場所。駅前広場のベンチは「想が座っていた場所」として巡礼者の定番撮影スポットになった。
小田急小田原線の地下駅、世田谷代田駅。地下化が完成したのは2013年3月のことで、それ以前は地上を走る各停しか止まらない小さな駅だった。地下駅というつくりも、外の喧騒から切り離された二人だけの空間のような効果を生んでいる。 『silent』第1話、紬(川口春奈)は新宿方面ホームの奥に高校時代の恋人・想(目黒蓮)の姿を見かけ、追いかけて西口改札前で声をかける。物語はここから動き出す。駅前ロータリーや券売機の横、改札脇の壁——地味な場所ばかりだが、二人の関係の起点として全11話を通じて幾度も画面に映り込む。紬の視線がホームの向こうに固定される、その数秒間の芝居だけでこの駅の役割が決まった。 放送後の反響は数字にも表れた。2022年11月の定期外乗降者数は放映開始前の9月比で22.7%増加し、小田急電鉄は駅構内でドラマのBGMや主題歌を流すタイアップを実施、2023年4月には限定4万部のロケ地マップを小田急線全駅で配布した。改札を出てすぐのベンチには、今も花や小さなメッセージカードを置いていくファンがいるという。ドラマから3年以上経つ今も訪れる人が絶えないのは、この地味な駅だからこそ成立した恋の物語だったからだろう。 とはいえここは今も現役の通勤駅であり、駅前広場やベンチは近隣住民の生活道路も兼ねている。撮影目的の長時間の座り込みや大声での会話は控え、通勤時間帯の混雑時は特に配慮したい。早朝・深夜の滞留も、近隣への配慮から避けたほうがいい。初めて訪れる人は、想像していたよりも駅がずっと小さいことに驚くかもしれない。駅を訪れる際は、あくまで通勤・通学客の日常を尊重する姿勢を忘れずにいたい。
アクセス: 小田急小田原線「世田谷代田駅」構内