高海千歌の実家「十千万」のモデル
明治20年創業、国登録有形文化財の老舗旅館。太宰治が『斜陽』の一部を執筆した宿としても知られ、主人公・高海千歌の実家「民宿 十千万」のモデルとしてシリーズ通して登場する。
安田屋旅館は1887年(明治20年)、商人宿として創業した。1918年に現在の場所に移り旅館業を始め、その年に建てた「松棟」と1931年築の「月棟」は、いずれも国の登録有形文化財に指定されている。 1947年2月、太宰治はこの松棟の2階に半月ほど滞在し、疎開先で親交のあった弟子・田中英光の紹介がきっかけだったと伝わる。この滞在中に書き上げたのが、代表作『斜陽』の第1章・第2章だった。戦後の混乱期に、駿河湾を望む静かな宿の一室で名作の一部が生まれていたという事実は、旅館の歴史に厚みを与えている。物資が乏しい時代にあっても、この宿は文人が落ち着いて仕事に向かえる部屋を用意できていたことになる。 『ラブライブ!サンシャイン!!』では、主人公・高海千歌の実家である民宿「十千万」のモデルとされ、面する三津海水浴場や隣接する伊豆・三津シーパラダイスの景色とあわせてシリーズを通して描かれてきた。130年以上営業を続ける宿を、アニメの舞台としてそのまま使うという選択自体が、沼津という土地に根差した物語づくりを象徴している。千歌たちが部活のあとに立ち寄るような場面ではなく、実家という設定で使われているからこそ、シリーズを通して繰り返し映る回数が多い。三津の海と山に挟まれた立地は、劇中で描かれる沼津という土地の雰囲気をそのまま体現している。 今も営業を続ける現役の旅館であるため、宿泊客や従業員への配慮は欠かせない。日帰り入浴(12-14時・18-20時、大人1,000円)を利用すれば、館内の雰囲気を実際に味わえる。外観の撮影も宿泊客の通行を妨げない範囲にとどめ、無断で敷地に立ち入らないこと。JR沼津駅南口から東海バスで「伊豆三津シーパラダイス」下車、徒歩1分と、アクセスは意外に良い。
アクセス: JR沼津駅南口より東海バスで「伊豆三津シーパラダイス」バス停下車、徒歩1分